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高森明勅
2018.5.25 22:00

自衛隊元高級幹部の「加憲」擁護論

日本会議の機関誌『日本の息吹』6月号に、
航空自衛隊の元空将(
最高位の階級)だった
織田邦男氏の自衛隊「加憲」
への擁護論が掲載されている。

憲法9条2項の「戦力不保持」規定を“維持”する事への
問題意識が意外なほど低い。

自衛隊違憲論がなくなれば現状より一歩前進です。
現状より1ミリでも前進すればそれは政治としては
合格だと思いま
す」と。

これについては3点、指摘する。

(1)違憲論は既に憲法学界でも勢いが衰えている。
特に、
代表的な憲法学者である長谷部恭男氏と木村草太氏が、
揃って合憲論を強く主張している事実は、重大。
違憲論を過大に評価し過ぎ。

(2)自衛隊を憲法に「明記」しても、
「戦力不保持」規定が残れば、
現状の自衛隊の装備や訓練、
規模などがその“戦力”
に該当するから違憲、という議論は全く
「排除」出来ない。

せめて…違憲だという人が1人もいないようにしてもらいたい」
と言われても、無理。

(3)自衛隊に限らず、国家統治のあらゆる分野に亘り、
「違憲論」
の可能性は常に残り続ける。
そうでなければ、憲法はそもそも「
制限規範」としての
意味を持ち得ないだろう。

違憲論を排除する“為の”改憲なんて本末転倒だ。
又、氏は「自衛軍、あるいは国防軍を望む」
という声に対して、
こう反論する。

名称などどうでもいいんです。
外国人に説明するには英訳が重要なのです」と。

これも、「戦力不保持」規定ゆえに自衛隊が「戦力」未満の
“非”
軍隊である事を余儀なくされている(だからこそ広大な
グレーゾーンも発生する)という現実から、
目を背けた議論。

問題の本質は、「軍隊」としての条件をきちんと備えられるか
否(いな)かだ。

「名称」や「英訳」などに論点をずらし、
問題を矮小化してはならない。

更に「国民投票で(自衛隊明記の加憲が)否決されたら
『違憲』
が定着」という意見にも反論する。

「『違憲だから自衛隊を解散しろというのであれば、やってみろ』と。

そういう勇気はないだろう、
というのが現役の隊員の意見だと
私は感じています。

これまでさんざん『違憲の疑いあり』と言われ続けてきた
存在ですから、
仮に否決されてもステータスは何ら変わりないん
じゃないか」と。

余りにも乱暴な意見に呆れる。

国民投票の“重み”をここまで蔑(ないがし)ろにするとは。

学者の間に「違憲の疑いあり」との学説が存在するという事と、
約850億円もの国費を投じて
、主権者たる国民の意思として
“公式に”「違憲である」
との判断が下される事とは、全く次元が違う。

「(自衛隊解散を)やってみろ」と開き直れば済む話ではない。

もし国民投票で否決されたら、
自衛隊の正統性は決定的に損なわれる。

それに加えて、自衛隊を「解散」させられなければ
(現実として解散させられないだろう)、
憲法への信頼も
これまでとは桁違いに喪われる。

自衛隊も憲法も双方が致命的な傷を負う。

氏は先の発言の一方で、国民投票を以下のように高く持ち上げる。

「70年間…国民投票という権利を国民が剥奪されてきた…
その剥奪された国民投票の権利を取り戻す千載一遇のチャンスが今
巡ってきています。
この権利を取り戻してこそ、真の主権在民、
立憲主義ではないか」と。

その「真の主権在民」に基づいて
剥奪されてきた国民投票の権利」を行使した結果、
否決されても…何ら変わりないんじゃないか」というのは、
支離滅裂。

およそ「立憲主義」とは相容れない。

氏は「不毛な議論(違憲論)は現場の隊員に
ボディーブローのように効いてきます」とも言う。

ならば国民投票での否決は、
隊員のモチベーションの面で殆どノックアウトパンチではないか。

元自衛隊高級幹部の発言ながら、
「戦力不保持」の深刻な問題性を、
真面目に受け止めているようには見えない。

その上、「剥奪されてきた国民投票の権利」を侮り過ぎている。

立憲主義へのまともな理解もない。

残念だ。

___________________________

第74回ゴー宣道場 in 九州
「憲法は国民のものではないのか?

平成30年6月10日(日)午後2時 から
『八重洲博多ビル』(福岡)にて開催します。

「八重洲博多ビル」
(住所:福岡市博多区博多駅東2丁目18番30号)は、
JR・地下鉄
『博多駅』より徒歩5分です。

毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

八重洲博多ビルのHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、 “ こちら ” でどうぞ。

610日(日曜)午後2時開催の「九州ゴー宣道場」は

自民党の憲法改正推進本部にも影響を与えている、

異端の憲法学者・井上武史准教授をゲストに迎える。

 
テーマは「憲法は国民のものではないのか?」
である。

長谷部恭男や木村草太のように、護憲派に担がれ、真の

「立憲主義」を喪失し、サーカスのような解釈で禄をはむ

者こそ憲法学者、という欺瞞に嵌らない憲法学者をわしは

求めている。

 

現憲法の解釈を既得権益として守りたい憲法学者は、

国民が憲法に関心を持つことを嫌い、妨害する。

 

井上武史氏はそうではないと倉持麟太郎師範は言う。

福岡で開催する「九州ゴー宣道場」に参加する者たちは

幸運である。

憲法学会の枠をはみ出す異端児であり、しかも一流の

憲法学者の意見が聞けるのだ。

まことに楽しみではないか!

 

応募締め切りは530日(水曜)である。

応募開始だ!

自由民権運動の立役者・玄洋社の地に、九州全域から、

いや全国から集結せよ!

明治の自由民権運動以来の「回復の民権」が再開する。

「草の根の新憲法創設」に関われ!

君たちも民権闘士の一人だ!

当日、道場の入場料は、お一人様1000円です。


参加ご希望の方は、このweb上の申し込みフォームから申し込み可能です
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上 ↑ のメニュー「道場参加申し込み」もしくは下 ↓ の申し込みフォームバナー(画像)
クリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
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申し込み〆切後、当選された方にのみ「当選メール」を送らせて頂きます。

当選された方は、道場当日、
その「当選メール」をプリントアウトの上、会場までご持参下さい。
プリントアウトができない方は、当選メールの受信が確認できるもの
(携帯電話、タブレット等)をお持ちの上、ご来場ください。

 道場参加申し込みフォーム

応募〆切 は 平成30年5/30(水) です。

当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします

皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

次回の開催予定

第119回

第119回 令和6年 11/2 SAT
14:00~17:00

テーマ: ゴー宣DOJO in広島「原爆の悲惨さはなぜ伝わらないのか?」

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